ドリーム競馬に少々

 コメントを頂いたので番組の話についてもう一言付け加えておくと。長くなるのでニューエントリーの形で。

 競馬ファンのための放送でありながらも、競馬を知らない人に向けた放送でなければならないというのが、競馬番組を作る上での難しさだと思う。馬券を熱心に買う人はグリーンチャンネルに加入していることも多いし、競馬場やウインズに足を運び、そこで競馬を見る。そうでない人もたくさんいて、競馬中継の視聴率は大体5-6%ぐらい。それがGIだともう1,2%上がって、ディープインパクトのレースだと10%を超えるぐらい。全国的に考えると視聴率1%で100万人ちょいぐらいだけれど、近畿圏で考えると推定20万人ぐらい(関東は40万前後)。その数字が高いか低いかはここでは置いておくとして。


 例えば杉本さんが語っていたように「パドックに入ると視聴率がガクっと落ちる」というのは、パドックを見て馬券を買うという人よりも、とりあえずレースは見ようという人が多いことの表れだと思う。僕が競輪や競艇の中継を見る時も、レース以外は何をしているのかよくわからないから、他のチャンネルを見ていることも多いように、一番の目的はレースであることは間違いのないこと。競馬ファンのためだけにコアにコアに番組を作っていってしまうと、何となく面白そうだなぁと思って眺めているだけの人は他のチャンネルに替えてしまうかもしれない。


 新しく始まったドリーム競馬は夏のローカルのような「競馬ってどこを見ればいいか」という初心者向けの放送になっている気がしなくもない。それは鈴木由希子さんのパドック解説であったり、タレントをゲストに呼んだりという部分から。そう考えるとテンポイントの牧場中継というのは、コアすぎるので、どう捉えているのか判断しにくい作り方ではあった。


 誰に対する放送かということを考えるとCMもそう。競馬ファンにとってはブランドCMの方が圧倒的に好感度が良さそうだが、あのCMで今週競馬に行ってみようかと、競馬をやったことのない人が思うかというと、そうではないと思う。一連のブランドCMは競馬を齧ったことがあるからわかる懐かしさや暖かさみたいなものを喚起させてくれるが、一般人に対するコマーシャル(宣伝)としてはインパクトが弱い。


 アメリカでも90年代後半からテレビ放送が普及して電話投票が増え、競馬場への入場者は減少傾向にあり、日本でも同様に電話投票での馬券購入は増えているものの、競馬場への入場者数は減少傾向にある。
 昨日、今日新聞を見て初心者同士で競馬場に行く人よりも、誰かに連れられて競馬場に行く人の方が圧倒的に多いことを考えると(推定ではあるがこれは間違いなさそう)、馬券を買う人が自宅に篭れば篭るほど、競馬ファンの減少に歯止めをかけることができないことになる。


 一般人にわかりやすい放送を心がけ、変わろうとしている今のドリーム競馬に、これまでの競馬ファンが違和感を持つのは、我慢しなければならない部分だと思う。ただ、それがどういう結果になるかは、視聴率という形で時間が経てば見えてくると思う。だから、今は我慢すべき時期なんだろう。
 ただ、今日の放送のように、司会の柳沼さんと同じセントフォース所属の高木千佳子を呼んできたり、サタ馬もコラボレーションさせて競馬エイトの解説でがっちり固めたりするところが、よくわからない点。何を目指しているのかさっぱり。


 そうしたCMやら番組の力に頼るのではなく、自分達が自分達の周りの人たちを競馬場に連れて行く。それが競馬ファンに今課せられた、今やらなければいけない、やった方がいい事なのだと思う。JRAがそうやって来場した人に、いかなるサービスができるかどうかは、これはまた別の問題。


 自分達に何ができるかということを考えると、競馬について語っていくこと、馬券を買うこと、誰かを競馬に連れて行くこと。そして、メッセージを発していくことであり、それを小さくてもいいから確実に実行していくことが大事なんだと思う。

 単なる雑記です。で、いま地震がきて焦った(笑)