POGを振り返る(1)

なぜディープインパクトが選ばれなかったのか。それが2005年のPOGの冒頭を飾るに相応しい言葉だろう。父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア、半姉レディブロンド、全兄ブラックタイド。これだけの良血で選ばれなかったのは、やはり皐月賞を惨敗し屈腱炎で戦列を離れたブラックタイドの影響か。武豊が言い続けた「隠されたギア」が初めから出ていたのがディープインパクトだった。

 ドラフト前に人気だったのは、エアグルーヴの長男サムライハートエアシャカールの全弟エアサバスクロフネの全弟ラパルースベイのいずれもが、兄姉を越える器と評価され人気を集めた。しかしながら、全馬が1勝止まりと大きく期待を裏切る結果となった。

 序盤に台頭したのはやはりマイネル軍団。マイネルレコルトマイネルアドホックの活躍で「りある」が好スタートをきった。それを追い掛けたのはコスモヴァレンチエイシンヴァイデンを擁した「トッシュ」。この二人が夏をリードし秋を迎えた。

 良血サンデーを抱えた「けんじ」が台頭したのはデイリー杯2歳S。ペールギュントがまさかの直線一気で重賞を制覇すると、その勢いで2歳戦を引っ張った。
 同時に活躍したのがローゼンクロイツ。関西のクラシックロードを順調に進み、暮れのラジオたんぱ杯が終わる頃にはクラシック候補に名乗りを挙げていた。

 朝日杯FSは「りある」指名馬のマイネルレコルトが長く脚を使い、流れに乗れないペールギュントを僅かに抑え、期間内唯一のGⅠウイナーとなった。
 一方で、流れに乗れなかったのが「じゅん」。毎度人気を背負うキングストレイルが2着、3着に甘んじ、朝日杯直前に脚部不安で回避するなど、流れに乗れなかった。

 明けて各馬が3歳シーズンを迎えた。まずはペールギュントシンザン記念を制し、確実にポイントを稼ぐ。同時に牝馬ではキングカメハメハの妹レースパイロットが活躍をし、牡牝クラシックを牽引していった。

 サンデーが不振の「りある」を救ったのは新種牡馬アドマイヤベガ産駒のアドマイヤフジ。デビュー戦後に軽度の骨折で間隔が開いたものの、暮れに復帰してからは、不器用ながらもその素質を徐々に開花させ、新種牡馬産駒1.5倍の効果をまざまざと見せ付けることとなった。

 「ルーク」はアドマイヤジャパンが順調にクラシック路線を駆け登り、ディープには適わなかったものの、十分な活躍を見せた。

 各人クラシックタイトルには手が届かず、歯痒い思いをしたことだろうし、なかなかレースに出てこないことをあっただろう。「けんじ」が上位に来たのはサンデー産駒の当たりを引いたと同時に、出走回数がダントツに多いことが挙げられる。

 シンボリクリスエスゼンノロブロイと関東から活躍馬が続いたが、やはりクラシックの上位は全て関西馬であることも重要なポイントで、いかに素質があり良血であろうとも、関東馬ではやはり勝ち負けできないことを私をはじめ、皆が改めて感じたことと思う。それが来期に向けた私からのヒントだ。

 明日以降は各人の振り返りなどをやっていこうと思う。