3歳1000万下ダート限定戦を作れ

 マンオブパーサーとスズカマグマが除外され、ユニコーンSのメンバーが少しスケールダウン。マンオブパーサー古馬混合戦のブリリアントSに登録しているのを見て、涙が出そうになった。2月の最終週に行われるヒヤシンスSも毎年除外ラッシュで、勝ち馬候補がことごとく除外される憂き目に合う。ヒヤシンスSとユニコーンSは少し状況が違うから、一緒くたにしてダート路線を語ることは出来ないけれども、今日はユニコーンSに関して。


 JRAは2003年の6月から新馬戦への出走を生涯1度きりに制限する措置を取った。従来は、一開催の中で連闘すれば何度か出走可能で、開催初日に負けても最終日に折り返しの新馬戦で勝つということが、基本スタンスである厩舎もあった。あるいは、一度レースを経験させることで、未出走馬に差をつける意図で出走するケースもあり、ダビスタ経験者でも、そうした新馬戦→新馬戦→未勝利のようなローテを組んだことがあるだろう。


 中央ワイド中継の長岡一也アナウンサーはこの施策の意味をこう捉えている。以下引用。

何と言っても、2歳新馬戦がいずれも未出走馬によるレースに限定されることが大きいでしょう。新馬戦は、生涯に一度だけしか出られなくなることで、その価値は大きくなります。賞金もアップされました。一度敗戦を喫すると未勝利戦に出るしかありません。これにより、新馬戦の注目度は増します。

今年から新馬戦は生涯に一度しか出走できなくなりました。これによる効果、影響がどう出るか、しばらく注目していきたいところです。1着の賞金額を700万円と100万円アップさせたように、これを勝つことの意味はずっと大きくなるでしょう。各地でスタートする夏の3開催の新馬戦のレース数は減り、その分、2歳未勝利戦が増えました。同じ1勝でも新馬勝ちの価値が高く評価されていくのは間違いなく、それらの馬が、以後どんなステップを踏んでいくのか、今までと異なる傾向が生まれるのか、興味は尽きません。

素質を見極める、より高い資質をもとめるという本来の新馬戦の意味がレースの中に凝縮されていくでしょうから、この生涯に一度という形式は、新馬戦への関心を強めていくでしょう。


 新馬戦の価値を高めるため出走を一度にし賞金を上げのだが、その改革が3年経った今年でも全く活きていない。マンオブパーサー新馬戦+500万下を勝ち、オープン特別のヒヤシンスSを2着。価値の高いはずの新馬戦を勝利しながら、このように除外になるのはおかしいとも取れる。
 

 その一方で、JRAの施策が成功しているのではないかと主張するのは日経新聞記者の野元賢一氏である。以下引用

(2002年ダービーについて)3勝馬(収得賞金1750万円)がボーダーラインとなっている。混戦の影響もあるが、2歳戦を充実させてダービー出走のハードルを上げるJRAの政策の意図は実現されつつある。


 JRAもそうだが、ファンも一部危惧しているのは、仕上がり早の外国産馬や早熟の短距離馬がほぼ勝ち目がないのに、皐月賞やダービーへと駒を進めてくることだろう。それを防ぐために、ダート重賞やOP特別を早い時期にたくさん組まないようにしているのだろう。

 2003年が1750万円
 2004年が2000万円
 2005年が1350万円(ちょっとあやふや)
 2006年が1750万円
 (ダービー出走のボーダーライン)

 
 新馬or未勝利勝ち→重賞(G3)勝利だと大体2000万円で出走可能
 新馬or未勝利勝ち→重賞2着だと足りない
 新馬or未勝利勝ち、500万下勝ち、重賞2着→1600万前後で微妙
 新馬or未勝利勝ち、500万下勝ち、OP特別勝ちだと抽選ライン


 近年の傾向だとこんな所で、ダート路線で活躍した馬、今年で言うとヤマタケゴールデンのような馬はOP特別を勝ってようやく抽選対象になる。それと地方交流競走の重賞を制してきた馬は文句なく出走出来る。


 ダートのOP特別で勝ってきた馬をダービーや皐月賞に出したくないのなら、皐月賞〜マイルCの時期に3歳限定1000万下(特別)のダート戦を作ればいいのではないか。ダービーを勝ちたい馬はその賞金で足りないことは分かっているから、否応なく芝の重賞路線(TRか京都新聞杯)に行かなくてはならないし、それが嫌なら交流重賞を制すぐらいの力は持っておけと。


 400万+400万+OP特別950万でボーダーラインに乗せたくないのなら、先週のあじさいSのように1400万(収得賞金・本賞金でもどっちでもいいが)なら+700万で1500万にしかならず、これならダービーには出られないが、ユニコーンSには出走出来るという体系が可能だ。


 それでは、「夏番組からいきなり1600万下に組み込まれてしんどい」ということになるかもしれないが、その場合は50kg〜53kgにするなどエイジアローワンスを考えればいい。どうせ、ここ(ユニコーンS)で2着以内に入ってしまうと1550万になる(新馬or未勝利勝ち→500万下勝ちの馬の場合)になるから、1600万下に編入されるので、どの道1600万下には挑戦しなければならないが。


 新馬戦に価値を持たせるならば、この改革案が提示された時に散々あげられた、新馬戦勝ち馬を未勝利勝ち馬よりも優先させるような環境を作らないと、先々の路線でどうせ一緒になるような事では意味がない。特に、春先→夏にかけてのダート路線はひどい。楽しみは秋か来年に取ればいいというが、ダート路線は早い時期から賞金を稼いでおかないと、重賞勝ち馬ですらフェブラリーSに出られるかどうか怪しいぐらい狭き門で、そのための重賞にすら出られない場合もある。


 抽選を引き当てるのも運、運も実力のうちかもしれないが、それは興行的にみてもまずいだろう。ダートの古馬路線を整備するなら、一緒に2歳・3歳路線も整備しないと、結局ファンが楽しめない番組作りになる。


 (ぼやき)…新馬戦勝ち馬を未勝利勝ちよりも優先させろとかいうと、最近の政治的な格差問題に絡めて「負け組」擁護する人がいるかもしれないな。だけど、JRAは新馬戦勝利に価値を置くと宣言しているのだから、それなりの優遇措置は取るべきだと思う。


 あ、あともう一つ。今の競馬業界には「馬券評論家」や「解説者」はいるけど「競馬評論家」なる職業の人がごく少ないと思われる。JRAを批判したり、アドバイスをしたり。女性週刊誌やゴシップのような3流の批判姿勢ではない「ちゃんとした批判者」っていうのは必要だと思う。それをさせない空気がムラ社会・官僚社会の日本競馬には根付いてるんだろうが。


 Jリーグがtotoを売り出して「スポーツ振興くじ」なんて言い方をしているが、1億円が出るってことはやっぱり「ギャンブル」として捉える人も中にはいるんじゃないかと。一般的にはスポーツだけど。totoのためだけにサッカーを見てる人にとって、サッカーはスポーツじゃないよな。

 ゴッドセンド降着かよ!!って昨日の夜中に知った。まぁ、それでも馬券は外れてるんだけど。ついでに、ノボリハウツーも降ろしてくれればよかったのに(そこまでしないと当たってない)。


 本当に、この降着→馬券ハズレ制度はおかしいと思う。悪いのは騎手と馬で、馬券を買う側にそこまでの責任を一緒に背負えというのは酷だろう。出遅れは馬の個性を読めばわかることかもしれないけど「このレースで○○騎手が斜行するから勝ち馬は○○」って所まで予想するのは不可能。それこそ、当たり馬券がハズレになった人を考えると騎手が罰金10万とかそんな程度で済まされるもんじゃないだろう。JRAは胴元で馬券が当たりろうが外れようが関係ないからこの制度が議論に上がらないのだろうが。


 馬は降着にして賞金を加えさせないという処置は必要かもしれないが、馬券は的中もしくは、降着該当馬は払い戻し→繰り上がり馬で的中という形にしないと。


 こんなどう考えてもおかしな事が批判されることもなくのさばっている社会を変えるためにも「ジャーナリズム」は必要だ、やっぱり。どうしようもない競馬社会って不遇だと少し思ってみたりもする。