これが本当の話なら

 ネットで激しい議論になるような話を持ち出すと必ず荒らしがついて回るから、個人的に他人様のサイトの文章の揚げ足を取ったり指摘したりするのは、マスコミ関係やそれ相応の立場の人に限っているのだが、この話に関しては自分のブログを見てくれている人にも読んでおかれた方が良いかと思って取り上げることにする。


 ひしあまぐりさんという方が書かれているブログの下馬の真相は??というエントリー内において以下のような文章が見られた。

 数年前のJCで、やはりJRA購入が決まっている馬が出走したことがあった。(中略)JBBA(種牡馬としてその馬を実際に譲り受けるJRA関連組織)の幹部の一人が、JRA購入馬に乗るジョッキーに歩み寄り「もし大敗したら、レース後に向こう正面で下馬しろ」と注文を付けたのである。(中略)負けたら種牡馬としての看板に傷が付くことは避けられない。だから、明確かつやむを得ない理由があって、仕方なく負けたことにする。その幹部の口調は紛れもなく真剣だった。(中略)結果から言えば、その馬は勝った。なんともアンチクライマックスな話だが、勝った以上は余計な下馬の必要もなく、ファンの喝采を浴びながら騎手と馬は装鞍に戻ってきたのである。(中略)ただし、こういう話は決して「有り得ない」話ではないようだ。その後も、同じようなシチュエーションに出会うことが数回あったからである。いずれにせよ、これらは競馬施行上の「不正行為」というわけではないし、生産現場からも「良くある話」という声を聞く。となれば、最終的な影響の程も疑わしい。つまりは「些細なコト」なのである。


 ネット上での文章であるので「あくまでもそのような事があったとして」という前提で、この話を進めていくが、これが果たして競馬施行上の「不正行為」に当たるかどうかは判断が分かれる部分だろう。レース前からわざと負けるという明確な条件が示されているのではないから不正行為、八百長には当たらないということだろうが、これが事実であった場合騎乗する騎手には、それ相応の処罰が下されるであろうことは明白である。


 騎手には日本中央競馬会競馬施行規程第95条において「騎手は、競走において、馬の全能力を発揮させなくてはならない」と定められている。海外ではあるがこれに接触したとされるのが、キーレン・ファロン騎手の八百長疑惑問題である(海外競馬ニュース ファロン騎手の八百長疑惑の経過(イギリス))。


 先のジャパンカップでの場合、馬券上関係がないから八百長ではないのかもしれないが、それが馬券に関する八百長に発展しないとも限らないし、そのような遣り取りが実際にあるとすれば、八百長が行われているかもしれないと疑わざるをえない。もし、レースに馬を出走させる馬主が他の馬の馬券で儲けようとすることが、可能であるからだ。実際には、他に10数頭のライヴァル馬がいるから、例え所有する馬に負けろと指示を出しても儲けられる保証はないわけだが。それでも、勝つ事を放棄する行為、わざと負けることは不正であろう。


 この話が事実だとすれば、ディープインパクトの薬物云々の話よりもっと奥が深い闇であると個人的には思うのだろうが、現実はどうなのであろうか。レースの途中で競走中止したが、レース後何の異常もなかったというケースが極稀に見られるが、それらが「八百長」でないと否定することは出来ない。もちろん、故障を未然に防いだ騎手のファインプレーという見方も出来るが、真相は一般のファンには知りえない部分である。


 デビッドジュニアがジャパンカップに来日して競走中止&ジョッキーが下馬でもして何の故障も見つからなかった場合、このような遣り取りが行われたのではないかと疑わずにはいられない。また、レース前からデビッドジュニアが競走中止するかもしれない可能性を考慮に入れなければならないとすると、それはもう競馬の予想の域を超えてしまっている。


 ディープインパクトから禁止薬物が検出された問題で、以前に書いたように何も知らない人々は「ディープインパクトって薬やってたんでしょ?」という認識を既に抱いてしまっていることは現実に起こってしまったことであるのだ。


 レースで必ずゴールを目指すことが前提でない競馬が行われる時、公正競馬とは何かが問われる。


 あくまでも、仮定の話に乗っただけなので、事実かどうかは確かめようがないので、深くつっこんだりはしないが、もし事実だった場合、今日を限りに馬券を買うことも、競馬ファンを名乗ることも辞めます。あくまでも、もし事実だった場合ですけれど。