行動のその先が見えない

 競馬には関係のない話題で。日テレの24時間テレビ内で起こった「おばあさんの所作を巡る騒動」を遠巻きで見ながら、2ちゃんねるを代表とする匿名のネットコミュニケーションの目的というか、行き着く先に何を求めているのだろうと思う。


 今回のケースに限らず、ネットは、自分が触れ合うことの出来る範囲を越えた全く関係の無い他者への非難と中傷を容易にした。非難の的になる要因はあるとして、そこに向かう匿名の人々の攻撃は、「メディアスクラム」と言っていい。


 悪い事をしたのだから、責められるのは当然。そのような空気が蔓延して、擁護する者はその非難の対象として加えられる。中学や高校で見られるような「いじめの構図」が同じようにネットでも見られる。


 ネットでの中傷は、やがて触れ合うことの出来る生活範囲にまで及び、リアリティを伴う痛みへと辿り着く。


 彼らは何がしたいのか。その行動の結果、今回の場合でいえば、日テレを謝らせれば気が済むのか。先のボクシングの亀田の件ではTBSに謝罪させれば満足なのか。その行動の先に、一体何を求めているのかわからない。


 そんな疑問を抱く自分も彼らを真正面から非難出来ないのは、おそらく競馬に関する記事の中で、その先に何があるのかわからない批判をしているだろうと思うから。もっと引いていえば、こうしてインターネット上で自己を表現する意味は何なのか。一言で表すとすれば、自己満足。これに尽きる。


 どっと押し寄せる彼らに正義感や社会を良くしようと心から望むのは決してそう多くないだろう。いわゆる「ノリ」であったり、「単に面白いから」。それが過去の学生運動のように社会を変えることになる一つの運動として起こるきっかけになるかもしれないのが、靖国神社におけるバトルなのか。


 一ついえるのは、マスコミをマスゴミと読んで非難している彼らが、同じようにマスとなり、メディアスクラムを起こしていることに気付いていないであろうということか。盛り上がる時には一気に集まり、冷めれば一気に引いていき、過去の出来事として、何もなかったかのように置き去りにする。


 人の振り見て我が振り直せ。出来る限り、自分はそうした方向に向かわない努力をしたい。

 コスモバルクが札幌日経OPに62kgで出走予定。札幌記念に使えない理不尽さを抗議するための行動を伴った出走なのだろうか。馬優先主義か人間の思惑か。無事に完走することを祈るほかない。


 出たい重賞や下級条件馬やOP特別勝ち馬が出られてGI連対馬天皇賞に出られない理不尽さ。それを解決する手段は数あれど、その中の一つは先に述べたネットによる世論の盛り上がりが、主催者を動かせるかどうか。


 利用する者、される者という表現はあまり好きではないが、ラフィアンはここぞとばかりに彼らを利用すべきであるし、彼らも利用されても面白いのではないかと思う。それが「結果として」、競馬界を良くする方向に向かうのであれば。地方競馬や馬産地の現状を真摯に考えると、面白半分で立ち入るべき問題でもないと思うが、やはり何かのきっかけは必要。


 言葉。メッセージのやり取り。コミュニケーションは本当に難しいものだと改めて考えさせられる問題が多い。