レースが豪華か豪華でないかは

 ジャパンカップ(芝・ダート共に)が寒いとの論調を至るところで拝見する。ここにきてハーツクライまでもが喉鳴りで…という話になってきてディープインパクトの薬物問題、カワカミプリンセス降着問題と引き合わせて、競馬を嘆く方々が多い印象。マイルCSの予想をするのに秋の天皇賞を振り返りながら、「豪華なメンバー」や「実力伯仲で面白い」というようなコメントを目にすることが多い気がした。


 

「G1勝ち馬7頭」の看板と中身にも、大きなズレがあった。タイトルの内訳はNHKマイルC(2頭)、朝日杯3歳S、阪神3歳牝馬S、高松宮記念スプリンターズSオークスで、旧八大競走の勝ち馬に限定するとウメノファイバー1頭だった。今や短距離G1は、他のG1を勝てなかった馬の救済の場のような感がある。(サラブnet 2001年6月12日のコラムより)


 八大競走信奉者と思われる日経のM記者に言わせれば、八大競走で勝ったのがダイワメジャーダンスインザムードのみで、アサクサデンエンハットトリックコスモバルクはまぁシンガポールとはいえ海外GIだから評価が別としても、大して豪華じゃないと切り捨てられてしまいそうなメンバーだった。


 とはいえ、グレード制が導入されて20年以上経つのに、未だに八大競走で一括りにしてしまうのもなんだかなあと思う。ジャパンカップ(芝)でいえば、ディープインパクトハーツクライメイショウサムソン八大競走タイトルホースで、コスモバルクが海外GIホース、スウィフトカレントドリームパスポート八大競走2着馬であることから考えれば、少頭数であっても「日本馬に関しては」結構揃った感がある。とはいえ、今回の場合、問題にされているのは外国馬の少なさであるので論点をズラしていると言われても否定はしないけれども。


 豪華メンバーと一言で言っても、八大競走に拘る人やら、外国馬の数、日本馬のGIホルダーの数、GIをどれだけ獲ったか、あるいは最近だとレイティングが高い馬が集まっているとか、もっと最近だとディープインパクトが出ているから(20代女性)など、人によって異なるので、何が豪華で何が豪華でないかは、一概には言い切れない。


 八大競走であっても、今年は騒がれなかったが春の天皇賞の扱いの酷さといったら、高松宮記念と遜色ないぐらいの…ものがあるように感じることもある。


 トゥザヴィクトリーが制したエリザベス女王杯のようなレースが最高級に素晴らしいと評する人もいれば、ディープインパクトナリタブライアンのような圧倒的な着差で勝つ姿こそ、素晴らしいと評する人もいる。


 今年の日本競馬はディープインパクトを中心に回ることは既定路線であった。(薬物問題はちょっと置いといて。)ジャパンカップはもしディープインパクト凱旋門賞を勝っていれば、ハーツクライとのリベンジマッチで、有馬記念メイショウサムソンとの最後の対決となるはずだった(凱旋門賞以前の想定)。


 それが、凱旋門賞で敗れたことによってジャパンカップの意味合いが、日本の地で外国馬を迎え撃つことにすり替わってしまった。その意味においてハーツクライメイショウサムソンが無意味であるか、それに近いと感じる人もいるだろう。鉄の女を引き継ぐウィジャボードが来日した所で、凱旋門賞で先着を許したレイルリンクとプライドが参戦しない舞台は意味が無いのかもしれない。また、メイショウサムソンが三冠を達成出来なかったことによって、ディープインパクトとの対決の意味が薄れてしまった感もあるかもしれない。


 個々人の考え方によって今年のジャパンカップは大きくその捉え方が異なるであろうが、個人的には少頭数でも「楽しみな」メンバーが揃った。もちろん、ハリケーンランやレッドロックス、プライド、レイルリンクあたりが出走してくれていれば、なお一層盛り上がったことは否定しないが。そんなにあれもこれも一同に会するレースは世界中で見渡しても、何十年か競馬を振り返ってみてもそう多くはない。


 暴論だけど、そこまでメンバー揃えたいなら、あるレースを勝った馬はここは強制って形にしちゃえばいいのにとも思う。故障なかったら回避出来ないよっていう。これはちょっと言い過ぎだけれど。


 結論を一言でいうと、今年のジャパンカップを個人的に楽しみにしてますってことで。