ディープの話も少々

 レーシングストライプス観た。シマウマと一緒に走るために他の馬の騎手が必死に手綱抑えてたのが印象に残った。シービスケットと違ってそこらへんの撮影の難しさはあるよな、確かに。でも面白かった。「なんでシマウマは出てないの?」とか競馬場で聞かれたらどうしようか。(笑)


 さて、ディープインパクトの失格が確定した件について個人的意見を少々。
 この処置でおそらくこの問題はなかったことになるのだろうが、一般人レベルにとってはどうしようもなく、後は新聞やテレビのような速報性のメディアではなく、継続取材の可能な雑誌が真実を追究する役割を果たしていくと期待しているのだが、JRAに依存あるいは、予想中心のメディアしかない日本ではそれも難しいか。


 今回のケースではイプラトロピウムを吸引していた際に馬が暴れて飛散した結果…というのが日・仏両者の公式見解であるようだが、JRAもお抱えの研究機関があるのだから、実際に馬に摂取させて試してみればいい。あるいは密かにやってみてるのかもしれないけれど。
 フランスでは薬物の摂取はゼロ以外ならアウトの裁定だが、事実の裏付け調査として薬物の残有量を調べるというのは必要な処置だろう。というのも、どういった検査が行われているのかわからないが、飼い葉に飛散した程度の量であれば、検査の際にごく微量しか検出されていなかったかもしれない。


 また、騒動初期にはこんな記事も書かれている。

 仏競馬統括機関・フランスギャロのルイ・ロマネ専務理事は20日、厩舎のスタッフが、フランス人獣医師から指示された投薬停止の期日を守らず、投薬を続けた疑いが強いとの見方を示した。(毎日新聞


 この記事は捏造(誤報)なのか、フランス競馬のトップとしてずっと紹介されていたロマネ専務理事が私見で、中途半端な事を言ったのか。後者であれば、JRAの「汚点」発言よりももっと問題になりうることではないか。


 また、11月17日の読売新聞のコラムにこのような記事があった。

 ディープインパクトの禁止薬物問題の処分が決定した。「不注意による過失」が薬物検出の理由と結論づけられたが、名馬に汚点を残し、ファンを失望させる結果だった。
 凱旋門賞には、日本から6000人のファンが詰めかけ、国内では深夜のテレビ中継が高視聴率を記録した。「競馬=馬券」ではなく、日本競馬界の至宝への純粋な応援だった。3着でもロンシャン競馬場では、拍手が鳴りやまなかった。競馬の新しい可能性に水を差す結果となる今回の失格は残念でならない。
 陣営は8月の渡仏直後から、ディープに関して厳しい取材規制を敷いた。調教や状態は、日本中央競馬会JRA)関係者しか取材出来ず、直前1週間は、それもシャットアウト。池江調教師は取材に応じたが、「いい状態が続いている」「140%の仕上がり」という内容に終始した。実際は、治療薬を使わざるを得なかった時期があった。
 競馬界で進んできた「情報公開」の点から、陣営の対応は、それに逆行するものだったことも、一連の騒動の中で浮き彫りになった。ただ、凱旋門賞挑戦に関しては、JRAが異例の「応援キャンペーン」を展開。メディアも、「優勝の可能性大」と、過熱気味の報道が続いた。大きなプレッシャーの中で治療薬を使ってしまったことが、今回の事態を招いてしまった側面であることも否定できない。


 いくつか面白い部分があるのでかいつまんで。
 中間の調整をJRA関係者しか取材出来ず、直線はそれすらもシャットアウトだったという部分で、マスコミ関係者は責め立てるのかもしれないが、そうしなければならない背景があったことも留意しなければならない。一部マスコミ関係者がルールを守らず、無作法であることが原因となって、万全の体制で挑むためには、そのような規制も致し方ないだろうという意識が関係者の中にあるのなら、それはマスコミ各位が受け止めねばならない事実である。そのあたりは今後、お互いが歩み寄っていくべき部分だろう。ただ、規制されていて受け流しだった割には、普段とそう大差ない記事レベルだった印象。国内でも蹄の状態が…とかどうせ書かないんだし。


 あと、最後の二文ぐらいはどうでもいい記者の感想なのか何だかわからんが。「大きなプレッシャーの中で治療薬を用いたことが今回の事態を招いた」って、因果関係はどこにあるんだろう。別にプレッシャーがあろうとなかろうと投薬が必要だったし、寝藁を交換しなかったというのは、資金面や厩舎との調整の関係であって、プレッシャーが原因だったとはどこにも発表されていないんだが。記者の妄想が文章になっていないか。


 今回の遠征に関しては、これまで比較的わかりやすかった、例えばラシックスであったり、スパイク鉄であったりといったものだけでなく、細かい部分まで注意が必要なんだということを改めて教えてくれたと考えてみれば、良い勉強になった。