2006年 有馬記念

 斜行厨という呼び名があるかはさておき、ラジオNIKKEI杯の直線でまたアクシデント。ただでさえ藤田騎手の事で頭が痛いのに、アンカツはまたこのタイミングで何てことをしてくれるんだとJRAのお偉い方はカンカンだろう。それとこれとの直接的な関係は一切ないが、イメージの悪化には繋がる。海外遠征を派手に宣伝したと思ったら禁止薬物が検出。今年のJRAは何かに憑かれたように色々降りかかっている。「亀田がディープインパクトは兄弟分やから単勝300万円買ったるで」とか何とか。またイラぬところから厄介なものが降って湧いてくる(笑)流れが悪い時ってそんなものだから、そういったマイナス現象をディープインパクトが快勝して締めくくれるかどうか。


 改めて、ディープインパクトという馬を振り返ってみた時に、マスコミに踊らされてとか、持ち上げられたということなく、この馬の持つ類稀なるスター性に惹かれていたのだろうと思う。それは、レースにおける圧倒的なパフォーマンスであり、騎手・武豊であり、金子オーナーの所有馬であり、ノーザンファーム生産馬であり、父サンデーサイレンスであり。
 マスコミが作り上げた虚像に乗った感覚はなかった。これまで十数年競馬を観てきて、馬券を買わなくとも勝って欲しいと思う馬はたくさんいた。スペシャルウィークサイレンススズカアドマイヤベガなど。それらが勝って欲しいと願っていた心とディープインパクトが勝って欲しいと願う心の強さが違ったかというと、そうでもない気がするのだ。


 ただ、それまでの馬が出走した時は京都競馬場にまで足を運ぼうとしなかったにもかかわらず、ディープインパクトが出走するレースだけは「必ずこの目で、自分の目の前で見なくてはならない」という脅迫観念というのか、言葉にし辛いプレッシャーがあったことも事実だ。それは言い換えれば、競馬ファンとして「ディープインパクトという凄い馬がいたんだけれど」と将来語り継ぎたいがために、足を運び続けたようにも思うし、ディープインパクトの走りそのものが好きだったともいえる。


 結局の所、何がどう凄いのか素人に説明することが今でもできないだろうと思う。それよりも「まずレースを観てくれ」。そうすればきっとわかるはずだからというのが、結局はディープインパクトという一頭の馬を自分が語ることができる限界である。


 無敗の三冠馬を目の前で見せてもらった。日本馬が凱旋門賞をこの手にできるかもしれないという夢も見せてくれた。この馬の活躍をどれだけメディアとして周りに、後世に伝えていくことができるか。それは自分に残された務めであり、自らの意志でもある。


 今年の有馬記念は、どんな結果がでても主演・ディープインパクト以上でも以下でもない。