ダービーの入場者が減ったようで…

 某掲示板にも板が立って、色んな議論がされているようだけれども。東京競馬場の入場者数は、最高が196,517名(90年05月27日)。これはアイネスフウジンが勝った時のダービーの日。そして、昨日のメイショウサムソンが勝ったダービーが107,048人。ざっと9万人の減少で大雑把に言うと半数になっている。ザ!・KEIBAさんのデータによると各競馬場の入場者数のピークは以下のようになっている。

札幌競馬場  60,549名(76年07月11日)
函館競馬場  29、757名(74年09月01日)
福島競馬場  47、391名(93年07月11日)
新潟競馬場  35,135名(91年04月28日)
中山競馬場 177、779名(90年12月23日)
東京競馬場 196、517名(90年05月27日)
中京競馬場  74、201名(96年05月19日)
京都競馬場 143,606名(95年11月12日)
阪神競馬場  92、986名(97年07月06日)
小倉競馬場  36、745名(97年02月16日)


 札幌、函館を除く全てが90年代で、2000年代はゼロ。JRAの売上げの推移の減少(→サンスポより)をみても分かるように、入場者数、売上げ共に伸びていない。


 そんな中で、アイルランド競馬が記録的な成長を遂げるイギリス競馬が大人気にも見られるように、世界的な競馬産業の衰退ということではなく、日本の問題であるように見受けられる記事が海外から届くのもまた事実。



 入場者数の減少の理由を「PATや電話投票などの在宅競馬組が増えたから」というだけであれば、売上げ減には繋がらない。売上げも減少している事を考えると、不況という理由を除けば、やはり競馬産業の構造に問題があるかもしれないと考えるのが普通だろう。単に「不況だから」で片付けるような事があるのなら、それはそれで競馬業界に未来はない。


 ここからは感想文みたいになるので、個人的な意見の羅列になるけれども。20年前の競馬場の様子が分からないので、一概には言えないけれど、印象として、競馬場内の環境やサービスの充実は、それなりに良くなっているのではないかと思う。スタンドの改修とか、そういった面で。他に何が変わったのか知らないけど。


 今の競馬関係に一番必要なモノは「批判的精神を持ったマスコミ」ではないだろうか。現在市場にある競馬雑誌、著名なものであげていくと、ブック・ギャロップの週刊誌。ゴールド・最強の法則・フォーラム・競馬王の馬券本、優駿サラブレのような読み物。サラブレは馬券本の印象も強いが。それらの中に、ちゃんとしたというか、JRAの方針や施策に対して批判的な文章を書いている出版物がどれだけあるか。最強の法則の水上学さんは、僕が書いた「競馬場に行っても座席がない」みたいなJRA批判の文章を書いていたりするが、書いてる本が本なだけに印象が良くない。その雑誌は某掲示板からネタをパクッているような雑誌の雰囲気があるから。


 出版社が既存の購買者を離さないように素晴らしいコンテンツの作品(出版物)を作る事は至上命題である。しかし、その市場の主催者であるJRAが入場者減、売上げ減では、当然の事ながら、そうした雑誌の売上げも減り、雑誌だけでなくテレビ・ラジオの視聴率も減る。それなのに、JRAに対してキチンとものを言うマスコミがないことが残念というよりも不思議でならない。


 物申す対象がいない産業というのは、現代社会において生き残っていけるのか。プロ野球にしろJリーグにせよ政治にせよ、良い悪いモノが批評の中にあるにせよ、そうした「批判的な精神」が生まれてこない事には、より良い方向には流れていかないと思う。


 例えば、優駿がそんな事をするかといえば絶対にない。あれはJRAのPR誌であるし、他の雑誌は馬券本がほとんどなんだから。それが可能なのはサラブレぐらいだと思っている。一番広い世代層に支持されていて、なおかつ読者層がJRAが全くサービスの提供者として見なしていない相手(未成年)の雑誌が、物申すマスコミとして担っていけないだろうか。問題は、そこにニーズがあるかどうかだけど、こうして欲しいとか、なんでこんな非常識があるの?っていうのは、必ずあるはずなんだ。JRAのレースがどうして無料で見られないのか!とか。そうした声を世間にアピールする場もない。


 お役所仕事のJRAがこういう批判的なマスコミ精神を嫌っているのは、色々読めば分かる。ただ、そんな腐った考えの役人がやってるから、この不況下で「ディープインパクト効果」を創り上げたり、安易な事を考えるわけで。そろそろムラ社会・コネ社会も終わりにする時代が来たんじゃないかと。